誤解だらけの難病 若年性認知症3

posted on 2017.01.29

eyecatch

若年性アルツハイマー病の夫とともに

初診から3年と1か月 今日のできごと

  • ダンボール箱をたたむ際 手間取って引きちぎる
    (結果紐でしばれる形になったので問題なし)
  • シャツの袖口のボタンがとめられない
    (とめないまま折り返して自力着用)
  • 携帯の着信がとれず、履歴からかけなおす操作をわすれる
    (一緒にゆっくりと操作、要件無事終了)
  • オーボエのリードを90度回転して取り付ける
    (数回くわえてみて 気がつきなおす)

若干のやりなおし時間があれば問題なく生活可能

あとから思い出すことがら(初診にたどりつくまでの???たち)

  • 手に取ろうとする意志に反して 指先がはじく動きをして物を取り落とすことが ふえる
  • 周囲の雑音があるところで書類が読めず 集中空間を確保することに苦慮する
  • 机のまわりで物がまぎれて探すことが増え 整理整頓に徹底して時間をかける
  • 研修で分かりやすいと評判のテンポのよい人気講師の授業をうけたが さっぱり わからず困る
  • 住所記入の際に[本町]の漢字が思い出せずしばらく空をあおいだ
  • とにかく疲れやすい

退職そしてオーボエ奏者としてのチャレンジ

一般に音楽はさまざまな効用があるとされており、昨今音楽療法は大変注目されている。
ボランティア活動で音楽を提供できる能力があることは 提供と享受の一石二鳥のように思えるかもしれない。

しかし・・・

演奏するということは 情緒的な刺激にとどまらず

楽譜を読む
音楽を解釈する
楽器をあやつる

などの能力が相互に関連しあって成り立っているため かえって脳機能の不具合に鮮やかに対面することとなってしまった。

リードが作れない

スタートしていきなりの問題

近年「のだめカンタービレ」などでも紹介されたため ご存知の方も多いだろうが、オーボエは発音体 リードを手作りする。
オーボエ奏者の企業秘密ともいえるリード作りには 何十もの工程があり独自の音に対するこだわりがつまっている細かい作業である。
消耗品であるリードは常に作りつづけなければならないのだが・・・

小さな部品を糸で縛って留めることや ナイフを駆使して0.01mm単位の削りをするための右手指先の動きが失われたことが明らかになった。

親指と向い合わせに指をすり合わせるとき どの指が動くのかが混乱するのだ。

演奏以前の発音が危機にさらされた状態で ボランティア活動がスタートすることになった。

音楽への情熱のみ

それでも演奏するのならば 病状と向き合って失われた機能を補いながら進むしかない。
使い古した コントロール性の低いリードで何とか演奏することと並行して リード作りの工夫が始まった。