誤解だらけの難病 若年性認知症4

posted on 2017.02.16

eyecatch

若年性アルツハイマー病の夫とともに

初診から3年と1か月 今日のできごと

  • 納豆のスチロール容器を引き裂く
    (別の器に移す)
  • マグカップを傾けたまま移動 コーヒーがてんてんと
    (気づいて拭き掃除をする)
  • コピーの縮小機能(A4→A5)にフリーズ
    (一緒に作業をする)

若干のやりなおし時間があれば問題なく生活可能

退職直後のとまどい

距離感がつかめない

机の移動中に柱にぶつける
隣の部屋にむかって 不適切な大声でよびかける
同じ部屋のなかで 呼びかけられたことに気づかない
など
職場の広い空間から 自宅に活動場所がかわったことで
主に声の届く距離をはかれないことからの戸惑いがみられた

お互いに顔が見えるフォーメーションをとってから声をかける
などの工夫をして
自宅内での適切な距離感に慣れるまで約半年を要した

演奏ボランティア始まる

まずはリード

近年「のだめカンタービレ」などでも紹介されたため ご存知の方も多いだろうが、オーボエは発音体 リードを手作りする。
オーボエ奏者の企業秘密ともいえるリード作りには 何十もの工程があり独自の音に対するこだわりがつまっている細かい作業である。
消耗品であるリードは常に作りつづけなければならない。

右手の各指を親指と向い合わせに指をすり合わせるとき どの指が動くのかが混乱する夫を手伝ってつくったリードによる演奏は↓をクリックしてください。

そして こののち
リードの問題は 理解あるサポートによって解決したのだが・・・

反乱する指はどれだ!!!

音楽のもつ意外な可能性

これでリードの問題が解決したと思うのもつかの間
指の反乱によるミスに悩まされることとなる

そして

反乱する指を追い詰めていく作業は
脳の機能をじっくりと見つめる作業なのだと気づくのに
大して時間はかからなかった

演奏を見つめることは 脳をみつめること

家族だから語れること

アルツハイマー病=物忘れ

とはちょっとちがった風景が見えませんでしょうか?
病が奪い去っていく「脳機能」は「記憶」意外にもたくさんあるのです。

つぎつぎとこのようなことが押し寄せてくれば
当然 本人にも家族にも戸惑いや葛藤がありますが、極力心理的な部分はとばしています。
主人の心のなかは主人にしかわからないことですから。
音楽に取り組む姿から主人の体におきる現象を描きだせればと思っています。