若年性アルツハイマー病 / 尻尾をかんだ蛇1

posted on 2017.02.20

eyecatch

若年性アルツハイマー病の夫とともに

初診から3年と1か月 今日のできごと

  • コーヒーメーカーをIHの上に置いてスイッチON
    (コーヒーメーカーさん 昇天なさいました)

これは若干ドキッとしましたが 本人がすぐに気づいたので

若干のやりなおし時間があれば問題なく生活可能

これまでのお話

これが現実 アルツハイマー病

をごらんください

今おもえば・・・あのときの あの

  • 一昨年の五山送り火 護摩木奉納時、突然「お前、書いとけ」と投げ出す(家族の名前【漢字】が思い出せなかった)
  • つり銭でもらったコインを箱にためる(指先がうまく動かないため使いづらい)
  • 腕時計のベルトがすぐにヨレヨレになる(指先の不具合のためねじってしまう)
  • タクシーの経路を説明する際に一気にまくしたてる(集中力がとぎれると続きが言えない不安)

診断以前 オッサンのずぼらな行動としか見えなかったもののなかに 人知れず戦っていた前駆症状があった。やりにくい 何か変だ とおもいながら言い出せない期間の不安は大きい

ボランティアコンサートにて

反乱する指と 出てこないコトバ

脳シンチグラフィーの検査では 左脳側頭部に血流の少ない部分が見られた
右手指が反乱する コトバが出にくい という症状と一致する
また 海馬付近の血流に異常がみられないのは 記憶障害があらわれないことと合致する

さて オーボエなのだが
なぜだかすっきりと演奏できない
きっと練習不足によるものであろう・・・人前で緊張するためもあるのだろう

釈然としないおもいをもてあましていた当時の演奏の記録です

しかし

コンサートの録音分析と普段の練習を観察することから
いったんキーを抑えた右手の薬指が
なかなかはなれようとしないでいることに気づいた

普通ならつきとめることができないだろう
ちいさなちいさな「失行」だった

尻尾をかんだ蛇は調教できるか

一般に脳には可塑性があり
細胞がダメージを受けて機能を焼失しても
リハビリによってある程度の回復が期待できる

アルツハイマー病の場合はどうだろうか?

萎縮によるダメージをうけた部分の分布にもよるだろうが
行動を意識的にすることdふぇ機能を復活させることが可能であろう
(ただし代替機能をもった部分が萎縮によるダメージをこうむるまでの間)
との仮定の下
コンサート活動とそのための練習を続けた

さて しかしまたしても困難が

アルツハイマー病では 脳機能の低下によって引き起こされる症状に対する自覚も進行にともなって低下する
脳は自らが破壊されていく危機感を感じ続けることができない
ダメージがダメージの存在を意識の中から消していく
へびが自らの尻尾をくわえ 自らをのみこんでいくように

危機感を感じられることが幸福なのか不幸なのかはケース バイ ケース
本人の人生に対する考え方と支える環境によるだろう

楽器をもって音楽を奏でれば
身体感覚では感知不能になった運動の不具合を音が描きだしてつきつける
音のおかげで自覚なくすすんでいく「失行」を意識的にとらえようとする
自らをのみこもうとするへびとたたかう毎日になった

現在進行形のチャレンジ

アルツハイマー病=物忘れ

とはちょっとちがった風景が見えませんでしょうか?
病が奪い去っていく「脳機能」は「記憶」意外にもたくさんあるのです。

つぎつぎとこのようなことが押し寄せてくれば
当然 本人にも家族にも戸惑いや葛藤がありますが、極力心理的な部分はとばしています。
主人の心のなかは主人にしかわからないことですから。
音楽に取り組む姿から主人の体におきる現象を描きだせればと思っています。

アルツハイマー病=物忘れ

ではありません。

「ボケてまわりに迷惑をかけるどうしようもない人」でもないのです。
失われていく脳の機能に翻弄されているのです。
どうぞ 継続して見守ってください。

そして これは他人事ではありません。
診断のきっかけとなった事件は
「ネクタイが結べない」
でした。

物忘れではないことに注目してください。

指先の運動をコントロールする・・・脳機能の不具合がこんな形ででるのです。

若年性アルツハイマー病の場合 症状の現れ方に大きな個人差があるそうです。
なかなか診断につながらず 気がついたときには大きな悲劇
そんなことにならないために 参考にしてください。

他人事ではありません。

早期診断 早期自覚は機能維持と以後の人生設計に大切なことです
人としてよりよく生きる
だれもが持っている権利として意識したいと思います

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