若年性アルツハイマー病 / 尻尾をかんだ蛇3

posted on 2017.03.01

eyecatch

若年性アルツハイマー病の夫とともに

初診から3年と2か月 今日のできごと

  • 階段で続けて何度もつまずく
    (ケガなどの大事にはいたらず)
  • コーヒー(粉)の袋を力まかせに引き裂き まきちらす
    (自ら掃除機を使って始末する)
  • 靴紐がほどけて結べなくて困る
    (私が結びなおしてほどけないよう内側に収納)

若干のやりなおし時間があれば問題なく生活可能

これまでのお話

これが現実 アルツハイマー病

をごらんください

おしまいまで ということ

仕事に出かけないのであれば家事労働を分担するよ
のひとことからスタートした家事労働が
意外な効果と可能性を見せてくれた

「手伝う」では説明の過程や作業中のペース配分で戸惑いが大きい

むしろ

最終的にこうなればOKと
ゴールを決めてマイペースで作業を最後まですることが
ストレス少なく楽な様子である
やり直しが多く かかる時間がながくなっても
最後までやることで達成感もある

家事労働には 危険な作業は少なく
身体と思考・判断の状態にあった方法を自分で考察することができる
さらに
意外に前進を使った運動でもある

散歩が良い 脳力活性のためにパズルを 音読を
と様々なことが言われているが
家事労働をさいごまで自分のペースでやりきることでカバーできているように思う

就労中の作業スピードとチーム内の足並みのストレスにさらされたデスクワークから解放され
生活スキルの改善・向上があった

若干のやりなおし時間があればタスクをやりとげることができる

アルツハイマー病初期患者の状態が社会で共有できれば 就労の可能性が広がることはまちがいない

ちなみに 今、主人が担ってくれている家事は
・布団のあげおろし(晴れた日には布団ほし)
・2階部分の掃除全般
・雨戸の開け閉め
・洗濯物の取り入れ
・庭掃除の際のゴミ袋詰め
・ゴミ出し
・買い物リストの読み上げと商品確認etc.です

続・尻尾をかんだ蛇にいどむ

脳機能の低下によって引き起こされる症状を自覚するのも脳機能である

アルツハイマー病にかかった脳は自らが破壊されていく危機感を感じ続けることができない
ダメージがダメージの存在を意識の中から消していく
へびが自らの尻尾をくわえ 自らをのみこんでいくように

主人の場合
ダメージが左脳に集中しており
主な症状は 右手の運動と言語(識字)としてあらわれている

退職前後 単語(特に名詞)が出てこない かむ
書こうとする文字が浮かばない
など かなりの不便があり
教職のため 授業や会議の場面で随分不便をしていたようである
理論立ててコトバを選んで使おうとすればするほど
苦労が大きく ストレスになっていたらしい

さて
教壇を退いても
ボランティアコンサートでは
曲目解説などのトークが盛り込まれている
気の利いた言葉を繰り出そうとすれども・・・な状態であったが

日がたつにつれて
しゃべりが滑らかになっていくのがわかった

漢語 熟語による表現が減り
柔らかな言い回しで言い換え
通達的な語調から
言葉のキャッチボールをしながら意思を伝える方向へと変わっていった

情緒脳と言われる「右脳」のダメージが比較的マシであることから
言語活動の左脳から右脳へのひっこしが起こったのではないかと思っているのだが
真相はわからない

職場のストレスから解放されたという
心理的な要因もあることだろう

ともあれ
「右脳は元気なのだから 意識して情緒的な生活を」こころがけ
発話に限っていえば この1年で大いに改善した

むしろ 音節的には増えてスムーズである

回復とは言えないだろうが
一時的な機能の改善 QULの向上は十分にありうる

現在進行形のチャレンジ

アルツハイマー病=物忘れ

とはちょっとちがった風景が見えませんでしょうか?
病が奪い去っていく「脳機能」は人としての存在を混乱させます

当然 本人にも家族にも戸惑いや葛藤がありますが、極力心理的な部分はとばしています。
主人の心のなかは主人にしかわからないことですから

アルツハイマー病=物忘れ

ではありません。

「ボケてまわりに迷惑をかけるどうしようもない人」でもないのです。
失われていく脳の機能に翻弄されているのです。

どれだけ本当の姿がえがきだせるかチャレンジです

早期診断 早期自覚は機能維持と以後の人生設計に大切なことです
人としてよりよく生きる
だれもが持っている権利として意識したいと思います

決して他人事ではありません
診断のきっかけとなった事件は
「ネクタイが結べない」
でした。

物忘れではないことに注目してください。

指先の運動をコントロールする・・・脳機能の不具合がこんな形ででるのです。

若年性アルツハイマー病の場合 症状の現れ方に大きな個人差があるそうです。
なかなか診断につながらず 気がついたときには大きな悲劇
そんなことにならないために 参考にしてください

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